お客様のメリット
- 高精度な投影技術により、原寸大で床面に投影した図面を作業員が直接トレースするだけで、墨出し作業が可能です。
- 専門知識がなくても、各工種の墨出し作業を最小限の作業員数で同時に行うことが可能です。
- 施工パートナーである専門工事業者の墨出し作業が合理化・省力化され作業時間を削減します。
技術の特徴
1.墨出し作業を効率化
建設工事では、各工程のはじめに設計図や施工図等に記載された様々な基準線、設備機器等の取付位置などの寸法情報を、実際の施工現場に原寸大で書き出す「墨出し」作業を行います。従来は、建築仕上(壁・床・建具)工事や設備工事ごとに複数の作業員が墨出しを行っていました。また、図面を確認しながら墨出し作業による人為的ミスや作業時間が多いなど、作業の正確さや効率に課題がありました。そこで、建物の床面に原寸大で投影した図面を元に作業員が直接マーキングすることで、墨出しを正確かつ効率的に行うことが出来る技術を開発しました。
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墨出し投影状況
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墨出し作業状況
2.カメラを利用した自動補正システムの開発により精度を向上
撮影カメラや投影するプロジェクターのレンズには固有の歪みがあり、床面に投影をすると映像が歪んでしまいます。この歪みを解消するために、各レンズのキャリブレーションにより算出された補正パラメータをプログラムに取り込み、レンズの歪みに起因する投影映像の歪み補正を実施しています。また、投影する床面には床段差や設備工事による立上配管などが存在するため、それらの障害物による投影映像の歪み補正にも対応できます。
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障害物対応用の補正映像
歪み補正対応用の補正映像
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自動補正後の投影状況
3.図面位置合わせの自動化により墨出し作業の準備時間を短縮
範囲の墨出し作業が完了すると、次の作業エリアにプロジェクター機器類一式を移動し、新たな墨出し作業の準備を行う必要があります。移動後の投影画像の位置調整・図面の縮尺調整・回転調整に要する時間を短縮するため、現地墨出しエリアの基準墨に合わせて投影専用の基準尺※1(ARマーカー)を配置し、その基準尺をカメラで読み取ることで投影位置が認識され、自動で投影画像の縮尺・回転角を調整し図面の位置合わせを行います。
4.㈱リコーとの共同研究による4K超短焦点プロジェクターの開発・導入により高品質な画角・画質の投影画像を実現
㈱リコーのプロジェクター技術と実績をベースに4K超短焦点プロジェクターを開発・製作を行いました。これにより、4K(3840×2160ピクセル)の高画質に加え、300インチ(約6.6m×3.7m)の投影が可能としています。
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4K超短焦点プロジェクター
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本システム機器一式
※1基準尺:AprilTagと呼ばれるARマーカーを表面に3つ付けた長さ1300mm、幅200mm、厚さ5mmの器具を画像投影領域面に対して水平および垂直方向に配置。
このARマーカー間の距離を基準寸法として撮影画像上の距離を自動で算出