お客様のメリット
- 敷地境界への汚染拡散防止対策であり、事業場の操業を妨げません。
- 設置後はメンテナンスフリーであり、維持管理が不要です。
- さまざまな複合汚染地下水への対応が可能です。
技術の特徴
事業継続を妨げない浄化対策
マルチバリア工法は、模式図に示したように、敷地境界など汚染範囲の下流側に地下水は通過させ汚染物質のみを無害化あるは安定化処理する反応材を含んだ透水性の浄化壁を構築する浄化対策です。
マルチバリアを構築する箇所は、敷地境界あるいは汚染源の地下水下流側などで、既設構造物を避けることが可能です。マルチバリアによる汚染地下水拡散防止対策を施した後は、施設改編時など、お客様の事業計画に沿ったかたちで汚染源対策を実施することが可能です。
メンテナンスフリー
従来技術である、バリア井戸などの揚水対策と水処理の組合せ工法では、恒常的に運転管理のための人員やランニングコストが必要となります。マルチバリア技術は、自然の地下水の流れを利用した浄化対策であり、いったん設置した後のメンテナンスは必要ありません。
複合汚染地下水にも対応
開発当初は、いわゆる“ハイテク汚染”とされるトリクロロエチレンなど揮発性有機化合物を無害化する浄化壁として実績を重ねて参りました。その後は、鉛・ヒ素・六価クロム等の重金属類や、地下水環境に関する法規制の強化にともなう、硝酸性窒素やふっ素など、さまざまな汚染物質に対応した浄化資材に関する研究開発を進め、複数の汚染物質が存在する場合でも適用できる「マルチバリア」技術として多くの施工実績があります。
マルチバリア工法の模式図
対象物質と反応原理
対象物質 | 原理 | 主要材料 |
揮発性有機化合物 ダイオキシン類・PCB |
酸化・還元分解 | 特殊浄化材 |
六価クロム等重金属 | 酸化・還元反応 (安定化) |
特殊浄化材 |
フッ素等非金属 | 吸着・安定化 | ハイドロタルサイト様浄化材 |
石油系炭化水素 | 微生物分解 | 酸素供給材、活性炭 |
硝酸性窒素 | 微生物脱窒 | 徐放性有機物 |
有機ひ素 | 酸化分解・吸着 | 特殊浄化材・活性炭 |
実績・事例
1997年度にトリクロロエチレン汚染地下水の拡散防止対策として、わが国初の案件を施工して以来、2012年度までに33件の実績を積み重ねています。
有機塩素系化合物のみならず、重金属類、硝酸性窒素、農薬類に対する適用事例も保有しています。
実績・事例詳細
電気機器関係事業所での適用例
対象物質
シス-1,2-ジクロロエチレン
反応材
金属鉄粉+砕石
マルチバリア
構築方法 - 群杭方式(円形柱列の連続壁)
構築深度 - GL-11m
汚染物質濃度
右図に示すように、マルチバリア下流側の観測井戸中のシス-1,2-ジクロロエチレン濃度は、浄化壁を通過した地下水が到達することで徐々に濃度が低減し、地下水基準に合致しています。
マルチバリア工法の模式図
社外表彰
平成18年度 日本水環境学会 技術賞:水素供与体を用いた透過性浄化壁による硝酸性窒素汚染地下水の生物学的脱窒技術